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2023/05/24 20:02

抹茶の適切な保管方法について知ろう!

抹茶缶の粉や抹茶のお菓子が、茶色ぽく変色してしまった経験はありませんか。
緑茶は、高温・多湿・光・酸素に非常に敏感です。
その中でも抹茶は碾茶を粉砕して粉にしているため、煎茶に比べて重量あたりの表面積が大きく、保存による変色や変質が早く、保管に気配りが必要です。

世の中で販売されているものの中には、退色予防として藻の一種であるクロレラを着色料として加えた、クロレラ入り抹茶というものもあります。
しかし、正直なところ、クロレラは抹茶の香りや味の質を落としてしまうのでオススメできません。

抹茶本来の味や香りを楽しんでもらうために、抹茶の劣化・退色のメカニズムや保管方法についてみていきましょう。

そもそも抹茶はなぜ退色するの?変色の理由は?

まずは、抹茶の色が変化してしまう理由について、メカニズムから見てきましょう。
その原因は大きく分けて2つで、クロロフィル(葉緑素)の分解とカテキンの酸化が関連していると言われています。

抹茶の変色原因①クロロフィルの分解

植物には、光合成で重要な働きをする「クロロフィル(葉緑素)」というものが存在しています。
クロロフィルには複数の種類がありますが、その1つであるクロロフィルaは、抹茶を始め野菜などの緑色の元となっています。

しかし、クロロロフィルaは熱(温度)、光、酸に弱く、それらが関与すると化学変化を起こしてしまいます。
具体的には、クロロフィルaの組成に重要なマグネシウムが分離し、黄色い「フェオフィチン」という物質に変化してします。
これが抹茶が緑から黄色になってしまう理由の1つです。

通常の抹茶の保管条件で、酸が関与することはまずありませんので、ここでは温度と光について掘り下げていきます。

【温度】

抹茶の保存温度について調べた実験の論文を読みました。
保管温度-70℃、4℃、25℃、37℃と4パターンで24週間保存した場合、抹茶の緑色に関わる「クロロフィルα」が、25℃では67%に、37℃では34%にまで減少しました。(「原料抹茶の保存条件が品質 に与 える影響」,2002,参照)

温度が高いと、クロロフィルaは壊れやすくなります。
繰り返しにはなりますが、クロロフィルαが減ると、鮮やかな緑色が失われ、黄ばんだような色に変わって
しまいます。

【光】

抹茶は光にもとても敏感です。
この情報は世の中でも広く知られており、ハーゲンダッツの「グリーンティー」のパッケージには、他のフレーバーとは異なり、光を遮る色のものが採用されています。

抹茶の緑色のもとであるクロロフィルという物質は、植物中では比較的安定する物質ではありますが、抹茶のような粉の状態の場合、とても不安定になります。
レタスなどの野菜が光により退色することは少ないのに、抹茶が光の影響を大きく受けてしまうのはそのためです。

抹茶は目に見えない紫外線や目に見える可視光まで幅広い光の影響を受け、フェオフィチンに分解されてしまうのです。(「クロロフィルおよびクロロフィル誘導体の光分解について,、1977,参照)

抹茶の変色原因②カテキンの酸化

抹茶の変色原因にはクロロフィルの分解だけではなく、カテキンの酸化も挙げられます。
もともとカテキンは無色透明な物質ですが、空気に触れると酸化し、茶色い「テアフラビン」になってしまうのです。

この技術をうまく利用すると茶染めや柿渋染めなどに利用できますが、緑や味を楽しむ人にとっては大敵です。
ここでは酸化のそもそもの原因である酸素と、酸化を進めるビタミンCの減少について見ていきます。

【酸素】

酸化の原因、それはなんと言っても酸素です。
煎茶などの茶葉では酸素を抜くために、パッケージの窒素充填をしていますが、抹茶の場合にはダマや静電気などの問題から、窒素充填をすることがとても困難です。

そのため、封をする場合は空気を極力抜いてから封をすることが重要になってきます。

【ビタミンCの減少】

抹茶に含まれるビタミンCには、酸化を防いでくれる効果があります。
ペットボトルの緑茶の成分表示を見ると、緑茶の次にビタミンCと記載されている商品が数多く見られます。
これは、緑茶を長期保存をするために、もともと含まれているものに加えてビタミンCが添加されているからです。

しかし、抗酸化作用を持つビタミンCも万能ではなく、25℃や37℃など高温化で減少してしまいます。
これに伴い、抹茶に含まれるカテキンが酸化されやすい状態になっていき、変質につながってしまいます。(「原料抹茶の保存条件が品質 に与 える影響」,2002,参照)

クロロフィル、カテキン両方の観点から、温度管理は重要と言えます。

結局、抹茶の保管には何を一番気をつければ良いのか

ここまで抹茶の退色のメカニズムについて書いてきました。
では結局何を重点的に防げばいいのでしょう。それはズバリ、光と温度です。

光と温度の2つに注意すれば、酸素が少し入ったところで急激に抹茶が劣化することはありません。

光の中でも太陽光などの強い光は、数時間で抹茶を退色させてしまいます。
また、温度は光ほど急激に劣化させてしまうことはありませんが、数週間でカテキンやクロロフィルを分解してしまうため、常温での保管もおすすめできません。

抹茶の劣化の原因が大きい順で表すと「光≫温度>酸素」となります。
では光も温度も遮断してくれる都合のよい場所はどこなのでしょうか。

抹茶は冷蔵庫で保管しよう!

光も温度も遮断してくれる都合のよい場所、それは冷蔵庫や冷凍庫です。
冷蔵庫や冷凍庫野中は、暗くて温度も低く保たれています。

抹茶を3ヶ月以内で使い切れる場合は冷蔵庫で、3ヶ月以上出し入れしない場合は冷凍庫で保管するのがオススメです。
冷凍庫で保管する場合には、必ず常温に戻してから開封し、開封後は早めに飲用またはご使用ください。
冷凍庫から出した直後に、低温のまま開封すると、抹茶は温度差により空気中の水分を吸って結露し、急激に劣化します。

抹茶のお菓子の保管方法

抹茶のお菓子も冷蔵庫等で保管することがよいことは言うまでもありません。
しかし、商品を販売する上では、なかなかそれも難しいのではないでしょうか。

先述した通り、抹茶は光や温度にとても敏感です。
ショーケースなどで販売をする場合には、できるだけ温度を下げて展示してください。
常温では数時間しか保たれなかった抹茶の緑色を、1日程度にまで伸ばすことができます。

焼き菓子など常温で展示したい場合は、光遮光ができる袋を使うのも有効です。
透明袋に入れたい方は、エージレスなど脱酸素材を入れることが有効です。
エージレスを入れた状態で、エネルギーが特に強い直射日光さえ避けられれば、通常の光下では数週間まで日持ちさせることができます。

まとめ

いかがだったでしょうか。
今回の記事では抹茶の退色・劣化のメカニズムや保管方法を説明してきました。

抹茶は取り扱いにくいと思っていた方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、抹茶の劣化のメカニズムを知れば、うまく取り扱えること間違いなしです!

この記事を読んだ人が抹茶を身近に感じていただけて、より好きになっていただければ嬉しいです。

また、matcha tripでは抹茶やほうじ茶を販売しています。
これを機会に抹茶を点てたり、スイーツを作ってみたい方は是非、私達のホームページをご覧ください。


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